まず知っておきたいこと
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前提となる“茶”の基礎的な知識
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おおまかな分類
広く茶と呼ばれるものは、大きく「ツバキ科ツバキ属チャノキ」の葉や茎の抽出液である“茶”と、それ以外の“茶外茶”のふたつに分けることができます。
日本茶、紅茶、烏龍茶などが前者で、狭義的にも「茶」と呼んでも問題ありません。後者には麦茶、柿の葉茶、コーン茶などが挙げられます。
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狭義の“茶”の分類
前項で述べた通り、日本茶、紅茶、中国茶は生物学的には同じチャノキから生産されるものです。日本茶は茶葉を摘んだ後の蒸しや煎りといった工程で熱を加えることで発酵を止めますが、紅茶と中国茶には発酵の過程が存在します。いまの時点では
- (一般的な)日本茶は発酵していない
- 紅茶は発酵している
- 中国茶は発酵の度合いや微生物による後発酵の有無などでさらに分類される
と認識しておけば問題ありません。
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チャノキについての知識
日本茶、紅茶、中国茶は同じチャノキから生産されると述べましたが、チャノキもおおまかに2種類に分類できます。ひとつは古くから存在が認識されていた中国原産のチャイナブッシュ種、もうひとつは19世紀の前半に発見されたインド原産のアッサム種です。おおまかに2種類と表記したのは、前述の2種の交配種が存在するためです。
チャイナブッシュ種は原産地の中国のほかに台湾、日本、東アジアの標高の高い地域で主に栽培されています。アッサム種は前述のチャイナブッシュ種が栽培されている地域のほかに東南アジア(ジャワ島のジャワティーが有名ですね)でも栽培されています。アフリカ(主にケニア)でも栽培されていましたが、気候変動や病虫害などにより大きく生産量を減らしました。
チャイナブッシュ種は日本でよく目にするようにあまり背が高く育ちませんが、アッサム種は垂直方向に大きく成長します。また茶葉もアッサム種は手のひらほどの長さにまで成長します。
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紅茶の知識
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紅茶の代表的な産地
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インド
- ダージリン
- 言わずと知れたダージリン茶の産地。淡い水色と香り高い芳香が特徴。
- アッサム
- ダージリンと並ぶ、アッサム種の茶の原産地。深い赤色の水色と、ダージリンよりも強い渋みが特徴。ミルクティーに向きます。
- ニルギリ
- 渋みや香りの主張がおだやか。フルーツティーなどでお茶のアレンジをする際に重宝します。
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スリランカ(セイロン島)
- ウバ
- 鋭い針で舌を刺すような強い渋みと香りが特徴。その香味は濃厚なミルクにも負けません。
著者が特に好むお茶です。 - ヌワラエリア
- ウバとは異なり、芯がしっかりしており、それでいて優しい香味。緑茶にも似た芳香で、ストレートでもミルクティーでも美味しく頂けます。
- ディンブラ
- ほかのセイロン茶と異なり目立った特徴はないものの、全体的に調和のとれた優等生的な仕上がりのお茶です。
日本の紅茶の第一人者と評された磯淵猛氏(2019年没)のお店の名前としても有名。
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インドネシア
- ジャワ島
- ご存じジャワティーの産地。苦みや渋みが抑えられた、ストレートでごくごく飲むことのできるすっきりした味わいです。
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中国
- 安徽省
- 他の産地の紅茶とは異なったスモーキーな香りが特徴。
省内の祁門県(キーモン、キームンとも呼ばれます)で生産されるものは祁門茶と呼ばれ特に珍重されます。 - 福建省
- 松の葉で燻して香りをつけた正山小種(ラプサンスーチョン)と呼ばれる加工紅茶の産地。その香りはアイラ島産のスコッチのようだとも、正露丸のようだとも。
ウバとともに著者が好きなお茶です。
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